編集部ブログ
医学
2024.01.28
日テレ「ニッポン人の頭の中」で『国民のための名医ランキング2024~26』の名医紹介
日本テレビのレギュラー番組「ニッパン人の頭の中」1月27日(土)10:30~11:25で、最新版『 国民のための名医ランキング 2024~2026―いざという時の頼れる医師ガイド 全国名医1020人厳選』で紹介された5分野、各1人の名医が紹介されました。有田哲平(くりぃむしちゅー)さん 、大久保佳代子さん等がパネラーで、華やかに番組が進行されました。その中で、痛みの検索としては、「足の裏」が一番だったのが、意外でした。見逃し配信は、TVer & 日テレTADA! ⇒ 放送終了後 1週間 、Hulu→放送終了後 1年間です。眼科、脳神経外科、循環器内科、耳鼻咽喉科、皮膚科の名医が紹介されているので必見ですよ!
2023.03.13
新刊『認知症と脳卒中は同時に予防できる』発売
長嶋茂雄氏を脳卒中から生還させた主治医(当時)の内山真一郎教授の新刊『認知症と脳卒中は同時に予防できる』が出版されました。突然襲ってくるように感じる認知症も、脳梗塞と同様に予防できるということです。認知症と脳卒中の発症の多くは生活習慣の改善で予防でき、若年期から中年期にかけて危険因子の管理が必要! 最近は認知症と脳卒中の若年化が問題となっており、どの世代にとっても、自分の健康は自分で作るしかないと実感します。大谷選手ほどではないにしろ、やはり自己管理なくして、人生は築けないのですね。
2022.11.06
腎臓をいたわって、健康寿命を延ばそう!
慢性腎臓病の自己流の食事療法は考えるほど簡単ではないのです。◆ 「たんぱく質制限」はどのくらいしたら良いのか?◆ たんぱく質制限で筋肉量が落ちて、寝たきりになったりしないか心配 ◆ 野菜の「茹でこぼし」「小さく千切りし水にさらす」、これって一生しないといけないの? ◆ 運動して体調は少し良くなったけど、これで人工透析にならずにすむのかな? などなど…。
スポーツでも仕事でも、最初が肝心といいます。最初に良い指導者について指導を受けること! それが上達の近道です。自己流では変な癖が付いたり、努力に結果が伴わなかったり…。ましてや医療の自己流って本当に危険です‼ 自己流の対応をしているうちに、腎機能が悪化していく。こんなに努力しているのに…。腎臓に不安を覚えている方に、是非読んで頂きたいのが、『慢性腎臓病の楽しい食事』 著者の吉村吾志夫先生は、腎臓病治療の超スペシャリストです。(日本腎臓学会専門医および指導医、日本透析医学会認定医および指導医、日本病態栄養学会専門医)多くの患者さんを治療し、食事療法を指導しながら、「もっと早く対応していたら、人工透析にならなかったのに」そんな悔しい思いを長年いだいてきました。そこで、「今なら、まだ間に合う!」という皆さんに、真に有効な「慢性腎臓病の食事療法」を届けるために執筆した本が、この『慢性腎臓病の楽しい食事』です。
2022.07.12
潰瘍性大腸炎の治療に世界初の試み、オルガノイド移植
安倍首相狙撃のニュースの衝撃は今も癒えませんが、安倍首相を辞任に追い込んだ「潰瘍性大腸炎」の治療には、朗報がありました。東京医科歯科大学で、世界初、オルガノイド(=ミニ臓器)を潰瘍性大腸炎患者に移植したと7月7日発表しました。オルガノイドを使った再生医療として世界初の試みです。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、腹痛や血便を伴う下痢を起こす原因不明の病気です。症状が重い場合には、入院や大腸全摘術が必要になることもあり、厚生労働省の難病対策における「指定難病」の一つです。東京医科歯科大学では、潰瘍性大腸炎の患者さん自身から採取した少量の組織から樹立し、大量のオルガノイドに増やした上で内視鏡を使って移植する技術を開発しました。
2022.05.24
次々感染症登場「サル痘」
天然痘に似た症状の感染症「サル痘」、5月21日時点で12ヵ国92人の患者が報告されています。日本には、これまで日本でヒトのサル痘の発生事例は報告されていませんが、今回のヒトの感染事例では、アフリカ大陸以外の複数の国で、渡航歴のない感染者が発生しており、市中感染の発生が示唆されることから、注意喚起がなされています。エイズの時もアフリカの局地的な感染症が世界的に広がり畏怖されましたが、今回は経路が明瞭でないことで、コロナ感染流行当初のような薄気味悪さを感じます。他にも原因不明の肝臓病もありますね。病気も原因がわかるということは有難いことだと改めて思いました。せめて多くの病気の要因となる「運動不足や過食」は改めなければと思います。
2022.04.19
待っていました!ノババックス製コロナワクチンを薬事承認
米ノババックス製の新型コロナウイルスのワクチンが、きょう午前、薬事承認されました。「これまでのワクチンでアレルギーが出た人への使用や、すでに別のワクチンを接種した人への3回目の接種として使用することも想定」と言われながら、なかなか承認されず、いつになるかと思っていたら…。早ければ5月下旬から配送されるということだそうです。武田薬品が国内製造するということで、何となく安心なような…、できるなら国内で技術開発してほしかったですね。3回目のワクチン接種が延び延びになっていたので、来月まで待つか…、と思案のしどころです。
2022.04.06
残念!イベルメクチンの最新研究
一時話題をさらったイベルメクチンですが、久しぶりに海外の最新研究が発表されました。「Covid-19患者におけるイベルメクチンの早期治療の効果」という論文で、米国やオーストラリア、ブラジルなどの国際研究班が、新型コロナ患者の入院リスクを減らす効果を確認できなかったと3月30日付の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表しました。
「イベルメクチンを1日当たり400μg/1kgの用量で3日間投与」での結果とのこと、非常に残念です。効果が証明されるのを待っている薬です。安価ですから、マスクのように国民全員に(感染前に)配るのもあながち無理なことではないでしょうか。イベルメクチン騒動は、世界に誇る断トツの日本技術の復活を、日本人が熱望していることを示しているように思います。対コロナのワクチンや治療薬開発競争に、日本がこれほど後れを取ろうとは…。政府はもっと効率的に予算を配分して、研究の基礎部門に資金を投下してほしいと願っています。
2021.11.02
新型コロナの収束に関する新たな研究結果(最新医療17)
現在、日本では感染者数が急激に減少しています。感染者が減っている理由について専門家はこれまで「人流の減少」「感染対策の徹底」「ワクチンの効果」「天候」などを指摘しています。しかし、11月30日に国立遺伝学研究所と新潟大のチームは新たな研究結果を発表しました。流行を引き起こしたデルタ株でゲノム(全遺伝情報)の変異を修復する酵素「nsp14」が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるということです。同研究所の井ノ上逸朗教授は「修復が追いつかず死滅していったのではないか」と指摘しています。新型コロナに関する情報は日々更新されています。新たな流行に備えて常に最新情報をチェックするようにしましょう。
2021.10.27
がんワクチンの開発が活発化(最新治療16)
がんの免疫療法の一つである「がんワクチン療法」の開発が活発化しています。がんワクチンについては様々な情報がありますがどれくらい研究が進み、実用化に近づいているのでしょうか。現在、世界で承認されているがんワクチンはアメリカでの前立腺がんに対する樹状細胞ワクチンのみです。残念ながら日本で承認されたものはまだありません。しかし、がんワクチンの開発は日本でも進められており、アステラス製薬、大日本住友製薬、塩野義製薬、大鵬薬品工業などが臨床試験行っています。また、東京医科歯科大学の位髙啓史教授(メッセンジャーRNA研究の第一人者)によると、コロナワクチンで使われたメッセンジャーRNAをがんのワクチン開発に利用し、がんワクチンや再生医療で既に臨床試験が行なわれているとのことです。ネットにはがんワクチン治療を自費で行っているクリニック等がありますがその効果は確かなものなのか、がん患者にとってはどうしても知りたいところです。国立がん研究センターの「がん情報サービス」によると、「自由診療として行われる免疫療法は、効果が証明されておらず、医療として確立されたものではありません」としています。また、「免疫療法は研究開発が進められている治療法でもあります。そのため、治療効果や安全性を確かめるために行う、臨床試験や治験などの研究段階の医療として行われる免疫療法として行われることもあります。研究段階の医療は、研究内容を審査するための体制や、緊急の対応ができる体制が整った医療機関で受けることが大切です」とあります。がんワクチンなどの免疫治療は信頼できる情報を得ることが何よりも重要となってきます。あせらず、主治医やセカンドオピニオンを受けることをお薦めします。
2021.10.03
明日からノーベル賞発表、候補に「制御性T細胞」発見の大阪大・坂口志文栄誉教授ほか
ノーベル賞発表の時期がやってきました。明日4日、医学・生理学賞から順次発表されていきます。自然科学部門は日本人の有力候補が多く、今から楽しみです。免疫を抑える「制御性T細胞」を発見した大阪大の坂口志文栄誉教授も有力候補の一人で、注目しています。免疫には数多くの細胞が関わっていますが、リンパ球も一種類ではなく、三種類もあるのです。★キラーT細胞…ウイルスやがんなど排除したいものに対して強力な殺傷能力がある。★制御性T細胞…キラーT細胞などが正常細胞にも過剰な攻撃をしないように抑制する。★ヘルパーT細胞…抗原情報を受け取り指令を出す。
この制御性T細胞を発見したのが、坂口志文教授! 免疫システムの異常を治すことで自己免疫疾患(花粉症、リウマチ等)炎症性腸疾患、がん等を治す可能性が開け、治療への応用が期待されている分野です。免疫機能は実に複雑です。異物への攻撃力が強すぎれば、自己を攻撃する自己免疫疾患になり、弱すぎれば感染症の原因となるウイルスやがんに負けてしまいます。いかに、体の中のバランスが大切かを改めて感じます。
2021.09.14
コロナ飲み薬の開発
今日、読売新聞を読んでいたら、「コロナ飲み薬開発大詰め」との見出しで、各国で開発中の経口薬について記事になっていました。米製薬大手メルクの「モルヌピラビル」、スイス製薬大手ロッシュの「AT527」、米製薬大手ファイザーも治験中とのこと。日本の「イベルメクチン」は名称すら載っていませんでした。どうして? かなり以前から、イベルメクチンも治験中というニュースを聞いています。せめて、政府が、北里大学の大村智先生のグループにドーンと投資して、治験結果を出して欲しいものです。日本が世界をリードできるビックチャンスなのに。日本は医療後進国だったのだろうか? ソニー、トヨタはもう幻想なのだろうか? コロナも、インフルエンザと同様に、毎年ワクチンを打たなくてはいけないのだろうか? そういえば、モデルナが、コロナとインフルエンザの混合ワクチンを開発中なんですよね。海外の薬やワクチンを当てにしていては、農作物と同じで、いざという時おすがりしなければいけません。もうワクチンの予約が取れないと、混乱が起こるような事態は二度と経験したくないです。
2021.08.24
国と都が医療機関に協力要請へ、感染症法に基づき初
やっと重い腰を上げました。厚生労働省と東京都は23日、都内全ての医療機関と医師・看護師を養成している学校に対し、新型コロナウイルスの患者受け入れと専用病床の確保、医療従事者の派遣を要請しました。もうずっと前から、現場の医師たちからは、もう一杯一杯で限界だとの声が上がっていました。
都市圏で病床が逼迫し、入院が必要となった患者が自治体超えて搬送されるケースも見られる現状に対して、8月11日、神奈川県病院協会の吉田勝明会長が、記者会見で以下のように現状を訴えていらっしゃいました。「加盟する全病院に患者受け入れ検討を要請しました。早くみんなで連携してこれから先の対応を一生懸命考えていきたい、対岸の火事と思ったところもすべての病院で体制をとっていただきたい」 対岸の火事という表現に、大変心が痛みました。
もう新型コロナウイルス感染症にかかったら、入院できない。そんな絶望を皆が感じています。要請が実行されるよう切に願っています。
2021.08.16
新型コロナの飲み薬を塩野義製薬が開発中(最新医療15)
2021.06.09
アルツハイマー病に希望の新薬がアメリカで承認(最新医療14)
アルツハイマー病の治療薬としてアメリカの製薬会社と日本のエーザイが共同で開発した新薬「アデュカヌマブ」について、アメリカのFDA=食品医薬品局は原因と考えられる脳内の異常なタンパク質を減少させる効果を示したとして治療薬として承認したと発表しました。FDAは7日「臨床試験の結果、『アミロイドβ』の減少が確認され、患者の症状への効果が合理的に予測される」と評価し治療薬として承認したとということです。一方で、「アミロイドβ」を取り除くことができても一度壊れてしまった脳の神経細胞を元に戻すことは難しいことから、治療はできるだけ早い段階で始める必要があるとされていて、この薬も認知症を発症する手前の「軽度認知障害」の人やごく初期の認知症の人を対象として臨床試験が行われていました。「アデュカヌマブ」は日本でも去年12月に厚生労働省に承認の申請が出されていて、今後の審査の行方が注目されます(NHK)
2021.05.28
ウイルスで悪性の脳腫瘍を治療(最新医療13)
厚生労働省は悪性神経膠腫に対する治療として、がん治療用ウイルス「デリタクト注」を承認する予定です。東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授らにより創製されたもので、ウイルスを用いてがん細胞を攻撃・死滅させるという新しい治療法になります。「デリタクト注」は遺伝子組換え技術により、がん細胞でのみ増殖するよう設計されたウイルスでがん細胞に同ウイルスを感染させると、ウイルスが増殖するとともにがん細胞を破壊・死滅させ、抗腫瘍免疫も誘導するとされます。ウイルスを使ったがんの治療薬が国内で承認されるのは初めてです。対象となるのは悪性の神経膠腫の患者のうち、手術や放射線治療などの標準治療で効果が見られなかった人で、小児も対象になるということです。
2021.05.26
前立腺がんに新しい放射線治療(最新医療12)
俳優の西郷輝彦さんが前立腺がん(ステージ4)に罹り、日本未承認の治療をオーストラリアで受けることを自身のYouTubeで公表しました。治療は「ルテチウム-177PSMA-617」という新規標的放射線療法です。これはがんに作用する薬剤を投与することで、がん細胞だけを攻撃することができる治療法です。がんのみを標的にするので、身体への負担も少ないというのがメリットです。費用は1回の点滴治療で最大300万円ほどで3回治療を受けるようです。シドニーのWaratah Private Hospitalの主治医、ナッド・レンゾー博士はTBSのインタビューに答え、「抗がん剤治療が難しい患者や高齢者もこの治療だとうまくいっている」と答えています。オーストラリアには西郷さんのように前立腺がんの最新治療を受けるために医療ビザで海外から入国するケースがあります。まだ臨床データが少なく効果も明確ではありませんが、患者にとって期待の治療法です。まずは日本で実績ある専門医にご相談されることをお薦めします。『国民のための名医ランキング』では泌尿器の外科医、内科医、放射線医を分けて名医を紹介しています。病院や医師は慎重に選びましょう。
2021.05.21
老化を遅らせる可能性が出てきたNMN物質に注目(最新医療11)
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)という老化を遅らせる物質が研究されています。研究する今井眞一郎教授(ワシントン大学)よるとまず老化をしる上で重要なのがNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という物質です。NADとは生体内で起こる様々な酸化還元反応において、電子の伝達を行う補酵素の一種で特に、好気呼吸や光合成などで重要な役割を果たします。NMNを飲むと、NADという生きていくうえで欠かせない補酵素に変換され、サーチュイン(長生き遺伝子)の働きが活性化されます。NADは老化と共に減少していき、直接的に体内にNADを取り込むことは困難ですが、NMNという物質を投与すことによってNADの減少を遅らせることがわかったということです。マウス実験では糖尿病、アルツハイマー病、心不全などを改善する結果が報告されいます。
2021.04.15
緑に囲まれて育つと小児の炎症性腸疾患発症リスクが低下(最新医療10)
居住環境の緑地(自然植生)が多いほど小児期に炎症性腸疾患(IBD)を発症するリスクが下がることが、カナダで行われた観察研究で明らかになりました(Am J Gastroenterol誌2月号)。一般に、炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病に分類されます。炎症性腸疾患を患う子どもたちの数は、世界規模で増えています。研究では居住環境の緑地と小児期の炎症性腸疾患との関連に影響し得る要因として、様々な微生物に曝露されるなどの直接的要因や、レクリエーションとしての運動量の増加やストレス軽減といった間接的要因を挙げています。研究者らは身の回りの環境を変えることで小児期のIBD発症を予防できる可能性があるとしています(日経メディカル)。
2021.04.01
国産治療薬にコロナを終息させる可能性
ノーベル賞受賞、大村智博士(北里大学特別栄誉教授)の発見から開発された「イベルメクチン」に注目が集っています。この薬は土壌の微生物から合成して作ったもので、もともとは抗寄生虫薬ですが、コロナ治療・予防薬として特に新興国から目覚ましい効果が報告がされています。イベルメクチンの副作用は極めてまれであり、あっても軽度で、体重50~60キロの人は3ミリグラムの錠剤を3~4錠飲めばよいということです。イベルメクチンは入手しやすく使用しやすいことも有利な点です。現在の課題は有効性を示す信頼できる雑誌の論文がまだ少ないこと、きちんとした臨床試験がまだ行われていない点などがあります。大村教授は治験を行う間にも亡くなる患者がいることを指摘し、特例承認してほしいと提言しています。
2021.03.04
AI(人工知能)を使い“がん”発見へ(最新医療9)
AI(人工知能)を使いがんを発見するシステムの開発が進んでいます。国立がん研究センターはNECと共同開発した内視鏡AI診断支援ソフトウェアが医療機器承認されたと発表しました。国立がん研究センター中央病院内視鏡科(科長:斎藤豊、プロジェクト担当:山田真善)に蓄積された画像でトレーニングされたAIを用い、大腸内視鏡検査時に大腸前がん病変及び早期大腸がんをリアルタイムに自動検出することができます。
早期がんは内視鏡検査時に見逃さないことが重要ですが、肉眼での認識が困難な病変や解剖学的死角、医師の技術格差等により24%が見逃されているという報告もあります。また別の報告では、大腸内視鏡検査を受けていたにもかかわらず、後に大腸がんに至るケースが約6%あり、その原因は内視鏡検査時の見逃し(58%)、来院しない(20%)、新規発生(13%)、不十分な内視鏡治療による遺残(9%)が挙げられています。今後、AI技術の進歩によってがんの発見率が向上し、大腸がんの予防、早期発見につながることが期待されています。(国立がん研究センターHPより)
名医1045人掲載、最新版『国民のための名医ランキング2021~2023』
2021.02.18
仮想現実(最新医療8)
仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)などの言葉を聞くようになりました。主にゲームの世界で使われているこの最新技術が医療で活用されはじめています。この分野の第一人者である、杉本 真樹医師は手術ナビゲーションシステム、3Dプリンターによる臓器造形など医療分野での先端技術開発を行っており注目されています。仮想現実と拡張現実を融合させた「複合現実(MR)」によって今後の手術は大きく変わることが予想されています。手術では患者の臓器の3D画像をリアルタイムで確認しながら、実際の患者の臓器にメスを入れていきます。3D画像でメスを入れるべき場所や順序を正確に把握しながら、実際の手術を進めていくことができる革新的なシステムです。これまで、熟練した名医たちしか不可能だった高度な手術が、誰もが安全に受けられる時代がくるかもしれません。今後、さらに注目されていく分野です。
2021.01.21
重粒子線治療(最新医療7)
がんに対する三大療法は外科手術・化学療法・放射線治療です。このうち放射線療法の種類は光子線のX線、ガンマ線治療に加え、粒子線の陽子線、重粒子線、ホウ素中性子補足療法があります。今回は重粒子線治療についてのお話です。重粒子線治療の特徴はからだの深いところにある、がんのみを集中的に照射できる点です。また、他の放射線治療に比べ、短期間での治療が可能です。手術に比べて根治性は劣るとされていますが、身体への負担が少なく、他の放射線と比べてサイズが大きい腫瘍に対しても短期間の治療が可能とされています。現在、保険適応となっている疾患は頭頸腫瘍・涙腺がん(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)、脈絡膜悪性黒色腫、切除非適応骨軟部腫瘍(肉腫)、局所前立腺がん・局所進行前立腺がんです。その他、先進医療(患者負担 314万円)の対象は食道、膵臓、腎、婦人科、肝臓、大腸です。また、ステージII~III食道がんの術前照射、ステージ0または1の乳がんの臨床試験が始まっています(放医研HPより)。重粒子線治療は放射線治療の中でも特に注目されている分野です。詳しくは国内6箇所の重粒子施設にご相談ください。
2020.12.25
医療崩壊の危機に直面して、望む抜本的な医療制度改革
ニュースで必死に働いている医療関係者の姿を見ると胸が痛みます。しかし、待てよ、と。全国の感染者数や重症者数が最多を更新していますが、それでも、その数は世界と比べればケタ違いに少ないわけです。なのに、なぜ日本の医療現場は崩壊の危機に直面しているのでしょうか? コロナウイルス感染症のレベル指定が間違っているとか、云々言われています。そもそも、コロナ前でも、病院は満床で、患者さんは空きを待っている、または、満床にして回さないと病院は利益が出ないとも言われていました。日本の医療体制には、抜本的問題があるというか、システムエラーがあるとしか思えません。これを機会に、日本の医療制度は、大きな改善が必要ではないかと感じています。この難局に皆が真面目に努力していることが、明日の大きな改善につながるよう願います。
2020.12.03
総合診療専門医(最新医療6)
全身の病気を総合的に診る「総合診療科」に注目が集まっています。原因不明の病気や複数の病気を抱えている時に頼りになるのが総合診療専門医です。総合病院や大学病院に行くと、数多くの診療科がありますが、自分はどこに行ったら良いか分からない場合があります。例えば、「腰が痛いので整形外科に行ったが、痛みの原因がはっきりしない。内臓系の病気ではないかと思い消化器内科に行ったがこれも問題がない」。または、「高齢者で複数の病気を抱えているので、総合的に診てもらいたい」という場合があります。このような時には総合診療科に行くことをお薦めします。全身の病気を総合的に診て、不調の原因を探ります。長年、原因不明の病気に悩む患者が総合診療専門医によって病気が特定できたということがあります。総合診療の訓練を受けた専門医数はまだ少ないですが、セカンドオピニオンとして相談を受け付けている医師がいます。『国民のための名医ランキング』では総合診内科に注目して、積極的に取り上げています。巻頭では総合診療の名医、竹村洋典医師のインタビューを掲載しています。
2020.11.19
米グーグル、日本向けにAI活用コロナ感染予想公開
米グーグルが、日本向けに人工知能(AI)を活用した新型コロナウイルス感染者の予測情報の提供を始めました。陽性者数、入院患者数などを都道府県ごとに示したサイトは一般に公開され、医療機関や行政機関に役立ててもらう目的とのことです。日本全体の今月15日~12月12日の陽性者数予想は5万3321人。これまでの感染者数が12万3544人(11月18日深夜までNHKまとめ)ですから、かなりの大幅アップです。今日、東京都の感染者数は、初の500人超えになりました。
2020.11.19
脊髄損傷に再生治療(最新医療5)
これまで事故やスポーツなどで脊髄を損傷すると、神経の機能を回復させるのは難しいとされ、手術やリハビリ以外に有効な治療法がありませんでした。脊髄損傷は国内では年間5千人が新たになり、患者は10万人いるとされています。脊髄損傷は治らないとされてきましたが、この状況が大きく変わるかもしれません。札幌医科大学が開発を主導した、再生医療製品「ステミラック注」が、厚生労働省に承認されました。治療方法は骨髄液を採取、「間葉系幹細胞」を培養して、点滴します。これによってベッドで寝たきり状態だった患者が自立して歩行する例がテレビで紹介されました。「ステミラック注」は、通常の保険診療の対象となり、高額療養費制度を受けることができます。治療を希望される場合、適格基準がありますのが、患者にとって画期的な治療法になる可能性があります。脊髄損傷の他、脳梗塞の治験も始まっています。これまで不可能だった病気に対して新たな治療が次々と研究されています。
2020.11.12
AIを活用した画像診断(最新医療4)
AI(人工知能)を医療に生かす試みが急速に進んでいます。予防、診断、治療の様々な分野でAIの活用が期待されていますが、実用化にもっとも近いと言われるのが、画像診断の分野です。数年内には画像診断医よりもAIのほうが高精度で診断可能になるとさえ言われています。国内ではオリンパス社が内視鏡画像用のソフト「EndoBRAINR(エンドブレイン)」を発売しています。このソフトは内視鏡分野において国内で初めて薬事承認を取得したAI製品です。検査中にリアルタイムで「腫瘍性ポリープ」、または「非腫瘍性ポリープ」の可能性を数値として出し、医師の診断をサポートします。
その他に、エルピクセル社はMRA画像データからAIが動脈瘤を見つけるAI診断ソフトを発売しました。脳動脈瘤を見つける割合は医師より高いとされています。全ての診断をAIに任せるのではなく、経験のある医師の目と見落としが少ないAIが協力して診断していくことで、質が高い医療を提供できるようになると考えられています。今後はさらに肺、肝臓、乳房のがんなどを対象にしたAI診断ソフトの開発が期待されています。
2020.11.05
がん・生殖医療(最新医療3)
「がんを克服して子供を持ちたい」。男女を問わず若くしてがんにかかっても子供を持ちたいと考える患者が多くいます。40歳までにがんにかかる人は年間約2万人です。しかし、抗がん剤治療や放射線治療の副作用で不妊になるおそれがあります。こうした妊孕性(妊娠可能性)の温存を考える若い世代(思春期・若年世代)のがん患者に対して、精子や卵子を凍結保存する方法があります。凍結保存によって将来に子供が持てる可能性を残せます。これまで全額自費のため、高額な費用がネックとなっていました。厚労省によれば経済的支援があれば年間7000人が凍結を希望するという試算があります。政府は現在、不妊治療について保険拡大の方針を示していますが、凍結保存についても何らかの支援が必要という意見が出ています。がん・生殖医療は若い世代のがん患者にとって希望が持てる医療技術といえるでしょう。『国民のための名医ランキング』では、がん・生殖医療の中心的な役割を担う医師を掲載しています。ぜひ、参考にされてください。
2020.10.29
がんゲノム医療(最新医療2)
がんゲノム医療に注目が集まっています。がんゲノム医療は、がんの原因となる遺伝子の異常を調べて「がんの性格」を知ることがまずは第一段階です。その遺伝子異常に対して「どういう治療(薬)が良いか」を提案していきます。これまでの薬物治療は臓器別に行ってきました。肺がんには肺がんの薬という具合です。しかし、がんの原因になっている遺伝子を調べると、肺がんの治療薬が実は乳がんにも使えるという可能性が出てきました。臓器ではなく、遺伝子をターゲットにするという考えです。現在、がんゲノム医療は標準治療がない、または終了したなどの条件を満たす場合に行われています。今後はがんの初期段階、また未発症の段階での発がんリスク検査への適応が期待されます。世界的な遺伝子のデータベース化によって、より精度の高いゲノム医療が実施される日も近いということです。『国民のための名医ランキング2021-2023』では、がんゲノム医療について、慶應大学病院の西原広史教授にインタビューして分かりやすく解説をしてもらいました。今後注目される画期的な治療法です。
2020.10.23
未知の臓器発見『第四の唾液線』
2020.10.08
ホウ素中性子捕捉療法(最新医療1)
2020年6月から「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がん」について、「ホウ素中性子捕捉療法」の保険診療が開始されました。ホウ素中性子捕捉療法は、がん細胞に選択的に取り込まれたホウ素が中性子を捕捉することにより引き起こされる核分裂反応を利用する治療法です。正常細胞にほとんど損傷を与えず、がん細胞を選択的に破壊することができます。得意な症例は、皮膚から浅い部位にある、手術でがんを取り切ったとしてもがんが周囲の正常組織に浸潤しており、再発を起こしやすい腫瘍です。具体的には悪性脳腫瘍や、周囲に浸潤しやすい種類の頭頸部腫瘍です。再発悪性脳腫瘍については、まだ治験段階ですが、近い将来診療可能となると期待されています。『国民のための名医ランキング2021-2023』では、ホウ素中性子捕捉療法について、京都大学複合原子力科学研究所の鈴木実教授にインタビューして分かりやすく解説をしてもらいました。今後注目される画期的な治療法です。
2020.10.02
日本で世界初、がん光免疫療法承認、新時代到来
がん光免疫療法の新薬アキャルックスが、厚生労働省から製造販売承認を取得したと楽天メディカルが発表しました。いよいよがん治療新時代が始まった!と心躍る気持ちです。治療効果が高く、正常な組織にはほとんど影響がないという『がん光免疫療法』は、患者さんにとって大きな奇跡的朗報です。この治療法の発案者は小林久隆先生、長年アメリカ国立衛生研究所で研究されている日本人です。
楽天メディカルジャパンが開発した同薬は、2019年に先駆け審査指定制度対象品目の指定を受け、2020年3月に条件付き早期承認制度の下で承認申請されていました。異例とも言える速さで、このほど世界で初めて承認されました。この治療法の特徴は、体内の免疫機能である抗原抗体反応を、光を当てることで患部でのみ限定的に行い、非常に効率的にがん殺傷ができることです。さらに、殺傷して細かくなったがん細胞を、免疫細胞が取り込み、がんの情報をゲットした免疫細胞によるがん攻撃力もアップするという多角的な治療法です。今回の承認は頭頚部がんですが、将来的にはがんの8割~9割のがんに有効との予測で、がんが痛みを伴わず治せる時代に手が届きそうです。
2020.09.18
健康な100歳をめざして
厚生労働省が、「全国の100歳以上の高齢者は過去最多の8万450人となり、初めて8万人を超えた」と発表しました。100歳以上の高齢者は、調査開始時の1963年に153人。1981年に1000人超え、1998年に1万人を超えました。すごい伸び率です。ただ、健康な100歳の方ばかりでなく、認知症など介護が必要な人口が増えて早急の対策が必要とされています。日本赤十字社医療センター初のオリジナル書籍『健康な100歳をめざして―予防と治療法を現役医師が解説!』では、健!康!な!100歳を迎えるために、健康長寿を延ばすためのポイントを網羅しています。
2020.07.12
前向き思考でアレルギー改善
産経新聞の記事で、前向き思考でアレルギー症状が改善したというニュースを読みました。前向きな気持ちが花粉症などのアレルギー症状を改善させるという研究結果を山梨大の中尾篤人教授(免疫学)らの研究グループが発表し、欧州アレルギー学会誌「アレルギー」のオンライン版に掲載されたということです。「病は気から」というのは、経験的に実感しますし、また東洋医学的には古くからいわれています。
2020.06.19
新型コロナ対策「集団免疫作戦」のスウェーデンに異変
スウェーデンは、国民に大規模な外出自粛を求めず、徐々に集団免疫を獲得するという方針を取ってきました。6月に入り、感染者の比率は他の北欧諸国に比べはるかに高く、死亡率は世界最悪の部類に入るとのニュースが報じられました。各国で、國土の広さや人口密度、年齢層、医療状況など違い、一律にこの方法が適していると言えませんが、スウェーデンが新型コロナウイルス対策に成功すれば、経済的ダメージを最小限にして人命も守るというモデルケースになったはずです。しかし、どの時点なら各国の対策に評価を下せるのか、難しいところです。
2020.05.15
なぜ医療崩壊寸前? 必須「優秀なかかりつけ医」
緊急事態宣言発令前より、ずっと「医療崩壊寸前」が懸念されています。なぜ医療崩壊寸前(すでに医療崩壊している病院も?)なのでしょうか? なぜなら、そもそも普段から医療現場は、パツパツの状態で余力がないのです。普段でも、病院では予約しても長時間待たされ、医療フタッフにも余裕のなさを感じることが多くあります。そんなところへ、感染症流行という負荷がかかればひとたまりもありません。つまり、医療現場が通常の診療に余力のある状態にならなければ、いざという時すぐにパンクする可能性があるというわけです。
その解決策の一つに、「かかりつけ医」「総合診断医」の充実があります。医療改革は、実は古くて新しい課題です。総合診療パイオニアで、日本の医療システム改革の担い手の1人である竹村洋典Dr(現・東京医科歯科大学総合診療科教授)をインタビューした『救いの総合診療医―新・総合診療専門医が日本の医療を変える! 』では、この問題を取り上げています。竹村洋典Drは、「優れたドクターG(総合診療医)に近隣で、いつでも受診できる、個人的な事情にも配慮してくれる、そして、何より的確に病気を診断し、必要な場合は適切な基幹病院を探し、原因探しの毎日から救ってくれる、そんな未来がやってくる」そんな夢に向かって、猛ダッシュしているドクターです。