編集部ブログ
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2021.06.15
高齢診療科の名医に聞く認知症の最新医療
6月8日に米国でアルツハイマー病の新薬が承認されたことをふまえ、6月11日に、認知症や老年医学で高名な羽生春夫先生(東京医科大学病院 高齢診療科、総合東京病院)にインタビューを行いました。インタビューより「米国で承認されたアルツハイマー病の新薬は、従来の抗認知症薬とは異なり、認知症の原因となっている脳内の異常たんぱく質(アミロイド)を除去し、認知機能の低下を長期的に抑制する世界で初めての新薬。しかし、特別な検査が必要で、専門医による早期の正確な診断が求められる。高齢者は、認知症だけでなく循環器疾患、骨粗鬆症、呼吸器疾患、整形外科疾患など、多くの病気を持つ場合もあり、全身管理が必要。また、がんになった場合、何の治療を優先するべきか、全身の状態を見る必要がある。全身管理ができる主治医を見つけるか、地域包括支援センターなど活用すると良い」ということがわかりました。
2021.06.09
アルツハイマー病に希望の新薬がアメリカで承認(最新医療14)
アルツハイマー病の治療薬としてアメリカの製薬会社と日本のエーザイが共同で開発した新薬「アデュカヌマブ」について、アメリカのFDA=食品医薬品局は原因と考えられる脳内の異常なタンパク質を減少させる効果を示したとして治療薬として承認したと発表しました。FDAは7日「臨床試験の結果、『アミロイドβ』の減少が確認され、患者の症状への効果が合理的に予測される」と評価し治療薬として承認したとということです。一方で、「アミロイドβ」を取り除くことができても一度壊れてしまった脳の神経細胞を元に戻すことは難しいことから、治療はできるだけ早い段階で始める必要があるとされていて、この薬も認知症を発症する手前の「軽度認知障害」の人やごく初期の認知症の人を対象として臨床試験が行われていました。「アデュカヌマブ」は日本でも去年12月に厚生労働省に承認の申請が出されていて、今後の審査の行方が注目されます(NHK)
2021.06.07
90歳、世界大会5度金メダル獲得、女性で世界最高齢のベンチプレス選手
内村選手は、4大会連続のオリンピック出場で、東京大会で種目別の鉄棒に出場することが決まりました。あの白井選手が代表に入れなかったほど、男子の体操は次世代が順調に育ってきています。筋肉や技を維持、向上するための地道な努力には頭が下がります。同じアスリートとして、シニアも頑張っています。『89歳、人生なんだってできるのよ! -マスターズベンチプレス世界チャンピオンが語る 人生100年時代を楽しく生きる秘訣』の著者・奥村正子さん、90歳、世界大会5度金メダル獲得、女性で世界最高齢のベンチプレス選手、現役です。若い頃からスポーツされていて、筋肉維持だったら?と思われるかもしれませんが、スタートはなんと72歳から。是非、このチャレンジ精神を見習いたいものです。
2021.06.04
在宅医療(かんたん医療用語6)
在宅医療とは、通院困難である患者さんの自宅、老人ホーム、高齢者住宅などに医師が訪問して診療を行うことです。定期的に訪問して診療を行うことを「訪問診療」、患者さんの状態が急変したり緊急に診てもらいたいことがあった場合、医師や看護師が駆けつけることを「往診」と言います。心配となるのはその費用ですが、医療保険、介護保険、各種制度によって、これらの費用が高額になりすぎないようにする仕組みが用意されています。医療費や薬代については、通院・入院のときと同じように医療保険が適用されます。基本的に75歳以上は1割、70~74歳は2割、70歳未満は3割です。しかし、月の負担が一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、申請すればあとで払い戻される「高額療養費制度」というものが用意されています。
2021.05.31
今日5月31日は「国際禁煙デー」今こそ禁煙を!
5月31日「国際禁煙デー」今こそ禁煙を! 自宅にいる時間が長くなった今こそ、絶好のチャンス「タバコは百害あって一利なし」 日本赤十字社医療センター著『健康な100歳をめざして―予防と治療法を現役医師が解説!』本書トップの第一項目は、ズバリ「禁煙」についてです。神経内科の作田学先生が書かれた「禁煙外来 有害なタバコをやめ 病気のリスクを減らそう」では、なぜ禁煙が健康に有効なのか、紹介しています。自力で禁煙が無理な方は、禁煙外来を利用しましょう!
2021.05.28
ウイルスで悪性の脳腫瘍を治療(最新医療13)
厚生労働省は悪性神経膠腫に対する治療として、がん治療用ウイルス「デリタクト注」を承認する予定です。東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授らにより創製されたもので、ウイルスを用いてがん細胞を攻撃・死滅させるという新しい治療法になります。「デリタクト注」は遺伝子組換え技術により、がん細胞でのみ増殖するよう設計されたウイルスでがん細胞に同ウイルスを感染させると、ウイルスが増殖するとともにがん細胞を破壊・死滅させ、抗腫瘍免疫も誘導するとされます。ウイルスを使ったがんの治療薬が国内で承認されるのは初めてです。対象となるのは悪性の神経膠腫の患者のうち、手術や放射線治療などの標準治療で効果が見られなかった人で、小児も対象になるということです。
2021.05.26
前立腺がんに新しい放射線治療(最新医療12)
俳優の西郷輝彦さんが前立腺がん(ステージ4)に罹り、日本未承認の治療をオーストラリアで受けることを自身のYouTubeで公表しました。治療は「ルテチウム-177PSMA-617」という新規標的放射線療法です。これはがんに作用する薬剤を投与することで、がん細胞だけを攻撃することができる治療法です。がんのみを標的にするので、身体への負担も少ないというのがメリットです。費用は1回の点滴治療で最大300万円ほどで3回治療を受けるようです。シドニーのWaratah Private Hospitalの主治医、ナッド・レンゾー博士はTBSのインタビューに答え、「抗がん剤治療が難しい患者や高齢者もこの治療だとうまくいっている」と答えています。オーストラリアには西郷さんのように前立腺がんの最新治療を受けるために医療ビザで海外から入国するケースがあります。まだ臨床データが少なく効果も明確ではありませんが、患者にとって期待の治療法です。まずは日本で実績ある専門医にご相談されることをお薦めします。『国民のための名医ランキング』では泌尿器の外科医、内科医、放射線医を分けて名医を紹介しています。病院や医師は慎重に選びましょう。
2021.05.25
鎮魂 6月5日ミッドウェー海戦
後手後手に回るコロナウイルス感染症対策、遅々として進まないワクチン接種の現状に、皆が「もやは日本は先進国ではないのでは」という危惧を感じています。東京五輪はどうなるのか? いやどうするのか? 今こそ、日本人の決断力が問われています。『零戦(ゼロファイター)老兵の回想―南京・真珠湾から終戦まで戦い抜いた最後の生き証人』で著者の原田要氏は、ミッドウェー海戦について「直衛隊をまとめる総指揮官がいてくれたならば」と語っています。
2021.05.21
老化を遅らせる可能性が出てきたNMN物質に注目(最新医療11)
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)という老化を遅らせる物質が研究されています。研究する今井眞一郎教授(ワシントン大学)よるとまず老化をしる上で重要なのがNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という物質です。NADとは生体内で起こる様々な酸化還元反応において、電子の伝達を行う補酵素の一種で特に、好気呼吸や光合成などで重要な役割を果たします。NMNを飲むと、NADという生きていくうえで欠かせない補酵素に変換され、サーチュイン(長生き遺伝子)の働きが活性化されます。NADは老化と共に減少していき、直接的に体内にNADを取り込むことは困難ですが、NMNという物質を投与すことによってNADの減少を遅らせることがわかったということです。マウス実験では糖尿病、アルツハイマー病、心不全などを改善する結果が報告されいます。