編集部ブログ
2020.05.18
台湾新幹線と並行して走る100年前に日本が建設した「縦貫線(台湾縦貫鉄道)」
一昨日、16日(土)より、NHKで日台共作のドラマ『路(ルウ)~台湾エクスプレス~』が始まりました。
台湾新幹線プロジェクトの軌跡を軸にして、日本人と台湾人の心の絆を描いた吉田修一氏の傑作小説をドラマ化したものです。
全3回にわたって放映されるそうで、物語の展開に加えて、台湾各地の風景も楽しみにしています。
2007年に開通した「台湾新幹線」は台湾の主要交通機関として今ではすっかり定着しているそうですが、この新幹線と並行するように走っているのが「縦貫線(台湾縦貫鉄道)」。この鉄道は、台湾が日本の統治下にあった100年以上も前に(1908年全通)、日本人と台湾人が力を合わせて建設したものです。日本と台湾には、100年の時を超えて強い絆があるんですね。
弊社刊『日本人はとても素敵だった』では、著者の楊素秋さんがこの縦貫線に乗って(路竹駅~台南へ)、中学受験に行く場面から始まっていますが、素秋さんは、日本時代を振り返り「古き良き時代」だったと次のように懐かしんでいます。
「日本時代の台湾は、町全体が豊かで、特に台南はゆったりと時間が流れているようでした。
よく町の孔子廟では、詩人や文人が詩を作ってお互いに交換しあって楽しんでいました。
非常に安定した社会で、隣近所とは互いに信頼し合い、相互の信頼関係、人と人との絆が素晴らしかったのです。
ですから、どこに行っても安心出来ました。それこそ枕を高くして寝ることが出来る世の中でした。
一方、今はどうでしょう。外を歩いていて何か話しかけてくる人があると、警戒心と不信感がまず頭をもたげてしまいます。また、現在の台湾の町並みを見てもらえば分かりますが、どの家にも鉄格子が付けてあります。まるで、自分で作った牢屋に自分で住んでいるかのようです。私の家もマンションの玄関のドアが二重にしてあり、窓には鉄格子がしてあります。それでも、空き巣に綺麗に洗いざらい盗られたことがありました。私は鉄格子の無い家に住みたいとつくづく思うのです。鉄格子の無い家で、戸締まりをしなくても安心して眠ることが出来た日本時代に戻りたいのです。道端で品物を拾っても、決して自分のものにすることのない時代にしたいのです。
日本時代は、人民は政府を信頼していました。そして、それに応えるかのように政府も人民の生活を良くしてあげたいという気持ちを表していました。また、兵隊さんも、先生方も、お巡りさんも良くしてくれ、町中至る所にいい雰囲気が溢れていました。もしもタイムマシンで元に戻れるのなら、もう一度日本時代に戻りたいのです。あの平和で穏やかな時代に。」
ドラマ『路』で台湾に興味を持たれた方は、ぜひ素秋さんの本も手に取ってみてください。
きっと台湾がより身近に感じられるようになるのではないかと思います。