編集部ブログ
2020.05.08
感染症に勝つためのシステム作りを
いざという時のための備えは、専門家の提言をどれだけイマジネーションを持って、実行できるかということかと思います。
PCR検査も、日本がこんなに少数しか実施できない体制だった現実を知り、驚いています。
地震と違って、感染症対策については、これまでほとんどの人が日常的には関心を寄せておらず、それによって政府の予算も回ってこないという悪循環だったと聞きます。
1人1人が感染症について正しい認識を持つことで、政府がパンデミック防止の効率的なシステム構築に本腰を入れるよう、後押ししたいと思います。
『国民のための名医ランキング 2018年』では、感染症の項目で、名医の紹介と『依然死亡率の高い感染症』というコラムを掲載していますのでご紹介します。3年前にこのコラム原稿を用意した時は、新型インフルエンザ流行も去り、パンデミックへの警戒が薄らいだ頃でした。
感染症はいつの時代でも、死亡率の高い疾患です。
感染症には、スタートダッシュと、持久走的対策が必要です。
『国民のための名医ランキング』は、2016年版、2018年版の次、最新刊は夏ごろ発売予定です。
いざという時に頼れる1冊になるよう、感染症の項目のほか34分野掲載する予定です。
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コラム【死亡率の高い感染症】
感染症は、世界レベルでみると、依然として死因の高位を占めています。WHOの2012年の統計によると、世界の全死因の4位に下気道感染症、6位にエイズ(HIV)、7位に下痢性疾患が入っています。
日本では、感染症分類別死亡率の1位は感染性胃腸炎2%(2,569人)、2位結核1.7%(2,087人)、3位インフルエンザ1.2%(1,514人)、4位黄色ブドウ球菌感染症0.8%(1,024人)、5位クロイツフェルト・ヤコブ病0.2%(252人)、6位急性ウイルス性肝炎0.2%(310人)です(『人口動態調査』厚生労働省2014年)。
感染症とは、環境中[大気、水、土壌、動物(人も含む)など]に存在する病原性の微生物が体内に侵入することにより引き起こされる疾患です。私たちの身の回りには、常に目に見えない多くの微生物(細菌、ウイルス、真菌(カビ、酵母等)が存在しています。回虫や蟯虫(ギョウ虫)のような寄生虫によって起こる寄生虫症も感染症の1つです。主な感染経路は、接触(経口)感染、飛沫感染、空気感染(飛沫核感染)の3つ。私たちに身近な感染症には、風邪、食中毒(細菌やウィルスに侵された食品や水を摂取して)、水虫などの皮膚の感染症などがあります。
昔は、天然痘やペストの大流行がありました。近年では、鳥インフルエンザ、結核、マラリア、SARS(重症急性呼吸器症候群)などの世界的流行(パンデミック)が心配されています。グルメブームによる生の食品や輸入食品・自然食品の摂取、海外旅行の増加、気候の変化、ペットブーム、海外からの輸入増加などによって、寄生虫症を含む感染症が増えてきているといわれています。人間の身体は、免疫機構によって、感染症を起こす病原体から身体を守っています。感染症の予防のためには、免疫力を保つこと、身の周りの衛生管理などが大切です。