編集部ブログ
2020.05.06
森上逍遥先生最新刊『タオと宇宙原理』序章その4
量子論の旗手であるシュレディンガーは、インドの『ヴェーダーンタ哲学』を学んでいたと言われます。量子論の基礎を築いた二―ルス・ボーアは、後半生を『易経』の研究に捧げたといい、不確定性理論のハイゼンベルクは、インドの詩人タゴールから、インド哲学を学んだそうです。東洋と西洋の知の出逢いが、物理学を新たな次元へと推し進めたといえるかもしれません。
森上逍遥先生最新作『タオと宇宙原理』序章より引き続きご紹介します。
◆量子力学は仏教哲理「非存在」を学んでいた!(続き)
理論物理学者でノーベル賞受賞者のエルヴィン・シュレディンガーのことばである―
「私たちはいったい何者であるのか。私はどこから来て、どこに行こうとしているのか」というような当惑させられる疑問を乗り越えるために、科学が果たした最も重要な寄与―そして、少なくとも私たちの心を休めるために―このような疑問に関して科学が提供してくれた最も評価し得る助けは、私の見るところ、時間というものの概念化にほかならない。これを考える時、ヒッポの聖アウグスティヌスやプラトンのように、科学者ではないが、同一線上にある多くの人々を思い出すのだが、特に三人の名前がありありと浮かんでくる。
その三名は、プラトン、カント、アインシュタインである。
(略)プラトンの一生の仕事に見られる二千年を越えて今なお光彩を放っているそのまことに優れた卓越性は、いったい何から来ているのだろうか。(略)
それは、彼が時間を超越した存在という考えを直視し―理性に抗して―現実の経験よりもこの存在はより現実的だということを強調した最初の人だった、ということなのである。