編集部ブログ
2022.10.06
子宮頸がん「9価HPVワクチン」定期接種へ
子宮頸がんなどを防ぐHPVワクチンについて厚生労働省は、「9価HPVワクチン」を、来年2023年4月以降から定期接種とする方針を決めました。これまでのワクチンよりも高い感染予防効果があるとされるワクチンです。子宮頸がんは年間約1万人が新たにがんと診断され、約2,800人が死亡しています。患者数・死亡者数とも近年漸増傾向にあります。特に、50歳未満の若い世代のがん患者さんの増加が問題となっています。性交渉すれば、男女を問わず、多くの人々がHPVに感染します。そして、そのうち一部の女性が子宮頸がんの前段階(前がん病変)や子宮頸がんを発症してしまいます。しかし、感染はHPVワクチンによって防ぐことができます。子宮頸がんは、「最も予防しやすいがん」なのです。9価HPVワクチンは、2014年12月に米国で承認されて以降、現在では世界で80以上の国と地域で承認されています。今回、厚生労働省が「9価HPVワクチン」を、定期接種(公費負担あり)とする方針を決めたことで、ワクチンの接種が進み、子宮頸がんの発症が減少することが期待されています。
国内で承認されているHPVワクチンには2価、4価、9価の3種類があります。2価ワクチンは、子宮頸がんの主な原因となるHPV16型と18型に対するワクチンです。4価ワクチンは、16/18型と、良性の尖形コンジローマの原因となる6/11型の4つの型に対するワクチンです。9価HPVワクチンは、さらに5つの型(31/33/45/52/58型)が予防対象になります。これらワクチンはHPVの感染を予防するもので、すでにHPVに感染している細胞からHPVを排除する効果は認められません。したがって、初めての性交渉を経験する前に接種することが最も効果的です。ちなみに、定期接種とは「国が接種を勧奨し、市町村が接種を行わなければならないワクチン」のことです。接種料金の全額、または一部を行政(市町村)が公費で負担してくれます。