編集部ブログ

2021年10月

2021.10.27

がんワクチンの開発が活発化(最新治療16)

がんの免疫療法の一つである「がんワクチン療法」の開発が活発化しています。がんワクチンについては様々な情報がありますがどれくらい研究が進み、実用化に近づいているのでしょうか。現在、世界で承認されているがんワクチンはアメリカでの前立腺がんに対する樹状細胞ワクチンのみです。残念ながら日本で承認されたものはまだありません。しかし、がんワクチンの開発は日本でも進められており、アステラス製薬、大日本住友製薬、塩野義製薬、大鵬薬品工業などが臨床試験行っています。また、東京医科歯科大学の位髙啓史教授(メッセンジャーRNA研究の第一人者)によると、コロナワクチンで使われたメッセンジャーRNAをがんのワクチン開発に利用し、がんワクチンや再生医療で既に臨床試験が行なわれているとのことです。ネットにはがんワクチン治療を自費で行っているクリニック等がありますがその効果は確かなものなのか、がん患者にとってはどうしても知りたいところです。国立がん研究センターの「がん情報サービス」によると、「自由診療として行われる免疫療法は、効果が証明されておらず、医療として確立されたものではありません」としています。また、「免疫療法は研究開発が進められている治療法でもあります。そのため、治療効果や安全性を確かめるために行う、臨床試験や治験などの研究段階の医療として行われる免疫療法として行われることもあります。研究段階の医療は、研究内容を審査するための体制や、緊急の対応ができる体制が整った医療機関で受けることが大切です」とあります。がんワクチンなどの免疫治療は信頼できる情報を得ることが何よりも重要となってきます。あせらず、主治医やセカンドオピニオンを受けることをお薦めします。

2021.10.03

明日からノーベル賞発表、候補に「制御性T細胞」発見の大阪大・坂口志文栄誉教授ほか

ノーベル賞発表の時期がやってきました。明日4日、医学・生理学賞から順次発表されていきます。自然科学部門は日本人の有力候補が多く、今から楽しみです。免疫を抑える「制御性T細胞」を発見した大阪大の坂口志文栄誉教授も有力候補の一人で、注目しています。免疫には数多くの細胞が関わっていますが、リンパ球も一種類ではなく、三種類もあるのです。★キラーT細胞…ウイルスやがんなど排除したいものに対して強力な殺傷能力がある。★制御性T細胞…キラーT細胞などが正常細胞にも過剰な攻撃をしないように抑制する。★ヘルパーT細胞…抗原情報を受け取り指令を出す。

この制御性T細胞を発見したのが、坂口志文教授! 免疫システムの異常を治すことで自己免疫疾患(花粉症、リウマチ等)炎症性腸疾患、がん等を治す可能性が開け、治療への応用が期待されている分野です。免疫機能は実に複雑です。異物への攻撃力が強すぎれば、自己を攻撃する自己免疫疾患になり、弱すぎれば感染症の原因となるウイルスやがんに負けてしまいます。いかに、体の中のバランスが大切かを改めて感じます。

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