編集部ブログ

2020.06.08

今、こうして生かされていることに感謝

 「89歳、人生なんだってできるのよ!」の著者・奥村正子さんの根幹を作った体験。

それは、1945年5月29日の「横浜大空襲」です。

横浜大空襲では、米軍のB-29爆撃機517機とP-51戦闘機101機による横浜市街地への無差別攻撃により、1万人もの人が亡くなり、30万人以上が罹災したといわれています。

先日、「大空襲に遭ってから、もう75年ですね。私は、あの時、死んでいてもおかしくなかったのに、こうして生かされているのだから、有難いと思って一日一日を大切に生きなければと思ってます」と奥村さんがしみじみと語って下さいました。

横浜大空襲については、著書の中でもページを割いて書かれてあります。そんな奥村さんと、現代の女子高生との興味深いやり取りを本書からご紹介します。ベンチプレス世界チャンピオンとはまた違った奥村さんの一面を垣間見られるかと思います。

 苦しい体験を語り継ぐ 

私は戦中戦後の苦しい体験があったので、その後の様々な困難を我慢できたことは確かです。たとえ逆境にあっても、あの苦しかったことを想い出すと「負けちゃいけない! あの時の苦難に比べたら、できないことはない」と思えました。 

そして、生きたくても生きられなかった人もいたのだから、「一日一日を大切にし、神様にお借りしている命を最後まで全うしよう」と思えました。

戦争の苦しみの中で育った人は、そういう考えの人が多いのではないでしょうか。 

ある時、私がよく使う駅でいつも見掛ける高校生の女の子が、「学生時代から運動してるんですか?」と私に突然話し掛けてきたことがありました。

「私があなたたちくらいの年頃の時は、戦争中で運動どころじゃなかったのよ。いつ空襲が来るか分からないし。運動の時間は竹の棒の先を削った竹槍で敵を突く練習をしてたんだから」と私が答えると、

「ええっ! そんなことがあったんですか!」って驚いていました。

「あんた竹槍で鉄砲の弾に勝てると思う?」

「ううん」

「そういう戦争一色の時代に私たちは生きてきたのよ」

「そうなんですか!」って。 

その時、私は思ったんです。「やっぱり戦争中のそういう辛かった話は、後世に伝えるべきだな」って。苦しい時代があったことを知らない人がたくさんいますでしょ。「いつもこういう裕福な時代じゃないんだよ」「戦争はしちゃいけないよ」ということを伝えたいですね。 

後から振り返ると、あの軍国主義というのは正しいことではなかったと思いますね。「時代に翻弄された」という言葉がありますけど、正にその通りでしたね。 絶対に戦争はしてはいけません。苦しむのは兵隊だけではないんです。我々国民全てが困るんですから。 

彼女と話したことで、若い人って話せば思いの外、素直に聞いてくれることが分かり、若者たちに我々の体験を語り継ぐことが大事だなと改めて思いましたね。

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