期待の膵臓癌治療 ─ 手術困難な癌をナノナイフで撃退する!

アップル社のスティーブ・ジョブズさん、坂東三津五郎さん、横綱の千代の富士・九重親方の膵臓癌に関する報道で、膵臓癌の難治性が改めて注目されている。

本書で、手術できない膵臓癌に対して唯一の治療法「不可逆電気穿孔法」(通称ナノナイフ治療)を紹介する。
ナノナイフといってもメスではなく、開腹しない治療法で、開腹のような体力の低下が起きない。

インタビューした東京医科大学病院名誉教授の森安史典医師は、長年消化器癌の治療にたずさわり、最新治療に対する先見性において、常に注目されてきた医師である。

期待の膵臓癌治療 ─ 手術困難な癌をナノナイフで撃退する!

  • 著者:桜の花出版 取材班
  • 価格:790円(税込869円)
  • ページ数:140ページ
  • ISBN-10:4434223208
  • ISBN-13:9784434223204
  • 発売日:2016/9/13
  • サイズ:17.2 x 10.9 x 1.2 cm
  • 発行:桜の花出版/発売:星雲社

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シリーズの紹介

シリーズ≪希望の最新医療≫

*現代医療を考える
医療は、日進月歩である。

昨日まで助からないと言われた人が、今日には助かる時代になった。
通常困難な手術も名医によって奇跡的に助かる患者がいる一方で、さして難しくもない治療で、医者という名の野巫によって殺される患者もいる。

主治医の誤診で改善しないまま、他の病院を回り、治療薬を貰うも治らないばかりか、ひどい場合は、処方された薬によって致命傷を残し、ショック死を起こしたりするケースもある。

このような医療の現状を鑑み、ここに、明日の医療を切り拓く最新治療を紹介する。

内容紹介

アップル社のスティーブ・ジョブズさん、坂東三津五郎さん、横綱の千代の富士・九重親方の膵臓癌に関する報道で、膵臓癌の難治性が改めて注目された。

初期の膵臓癌に特徴的な症状はなく、受診し膵臓癌と診断された時には、多くは手術不可能、何も治療しなければ平均生存率が半年といわれ、最後の難攻不落の癌である。

その膵臓癌に対しナノナイフ治療という最先端治療が、2015年4月よりやっと日本で始まった。

先陣を切って治療を行なっている森安史典医師に、この最先端治療について、インタビューを行ない、まとめた本である。

森安史典医師は、東京医科大学病院消化器内科主任教授として長年消化器癌治療に携わり、今年3月退官後、4月より山王病院で精力的にナノナイフ治療を行なっている。

現在、肝細胞癌の標準的な治療として位置づけられている「ラジオ波焼灼術」も、日本で最初に始めた医師の一人。「森安先生が認めて導入した診断法や治療法は、10年後には必ず日本の医療現場で主流になる」と言われているという。

ナノナイフ治療はメスは使わず癌患部に通電して治療する

ナノナイフ治療はメスは使わず癌患部に通電して治療する

<はじめに>より引用

2016年1月、国立がん研究センターが癌患者の10年生存率を初めて公開した。胃や乳癌のステージI(最も軽度)では9割以上が10年以上生存していることに対し、膵臓癌はステージIの患者でも3割以下しか生存できない。膵臓癌は自覚症状もなく進行し、早期発見も極めて難しい。癌が発見されたときにはすでに手術不可能である場合が多く、患者に突然の余命宣告する「難攻不落の癌」といわれている。ゆえに患者は一刻も早く新たな治療法が開発されることを待ち望んでいる。

この最も困難な膵臓癌に、『ナノナイフ』と呼ばれる全く新しいアプローチで挑んでいるのが森安史典医師である。その詳細は本書で解説するが、ナノナイフという電極針を癌患部まで刺し、高圧電流で癌細胞を撃退するというものである。切除不可能の膵臓癌に対し、残された最後の望みといえる最新治療である。

森安医師は消化器内科、患者さんに負担の少ない治療法の開発を常に心がけてきた

森安医師は消化器内科、患者さんに負担の少ない治療法の開発を常に心がけてきた

全身麻酔の元に皮膚の上から電極針を刺して治療する様子

全身麻酔の元に皮膚の上から電極針を刺して治療する様子

この治療の画期的な点は、第一に開腹手術ではなく、皮膚から数本の針を刺すだけで身体への負担が少なくて済む点である。第二に電流が流れた場所の癌は細胞死するので癌の取り残しが極めて少ないことである。癌が複雑に血管に絡みついて、数年前までは打つ手がなかったような膵臓癌に対しても、このナノナイフで治療が可能になった。欧米では、わずか3日後に退院するほど画期的な治療法である。

ナノナイフ治療は日本ではまだ始まったばかりである。アメリカでは外科手術とナノナイフを組み合わせる治療がされている。癌を取り残すことなく、再発を防ぐ効果をあげているという。森安医師は、膵臓癌以外にすでに肝臓癌へのナノナイフ治療を実施しているが、今後、さらに適応範囲は肺癌・乳癌・胃癌・大腸癌・前立腺癌と広がることが期待される。

インタビューを行なった医師の紹介

森安史典・東京医科大学名誉教授

森安 史典 医師(消化器内科)
順和会 山王病院 がん局所療法センター長

2016年3月、前東京医科大学病院消化器内科教授退任、同年4月より山王病院がん局所療法センター長
国際医療福祉大学教授・東京医科大学名誉教授

1975年、京都大学医学部を卒業以来、消化器疾患、特に肝胆膵疾患の腫瘍性疾患の診断と治療を専門。
長年、低侵襲治療を研究。肝臓癌、膵臓癌の超音波診断と局所治療を専門とし、肝臓癌のラジオ波焼灼術を日本で初めて導入。

さらに肝臓癌、膵臓癌へのナノナイフ治療を日本で最初に始める。森安医師が導入した治療法は必ず日本で標準的な治療になると評される。

2016年4月より、山王病院でがん局所療法センター長として、癌の局所治療の診療にあたっている。

目次

◆第1章 膵臓癌を知る

膵臓の大切な役割
膵臓癌がなぜ早期に見つかりにくいのか
「膵臓癌の疑い」で行なう検査
超早期発見の期待、マイクロRNA検査

◆第2章 解説 ナノナイフ治療

2008年よりアメリカで開始
ナノナイフの原理
使われる器機
治療の実際
ナノナイフ治療の適応レベル
治療効果(有効性)
合併症(副作用)の可能性
今までに治療した患者さん
ナノナイフ治療を希望される患者さんへ

◆第3章 森安史典医師へのインタビュー

◇手術不能な膵臓癌に最先端治療

膵臓癌の怖さと期待の最新治療
膵臓癌ではなぜ切除不能が多いのか
膵臓癌の外科手術対象者
ナノナイフの適応は局所進行膵臓癌
ナノナイフの有効性
高い技術と特別な機器が必要

◇膵臓癌をどう治療していくか

まずは放射線や抗癌剤で癌の勢いを止めてから
転移がないかどうか、化学療法をして観察する
抗癌剤(化学療法)について
生きたいという強い気持ちが医療を進歩させる
体験談ーーある患者さん(61歳男性)の症例

◇癌治療の将来

肝臓癌について
尊厳のある選択
ある患者さんの一言
消化器系の癌について  
免疫チェックポイント阻害療法「オプジーボ」
ナノナイフ治療の展望

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