コラム6 ABCD包囲網

ABCD包囲網とは、東アジアに権益を持つアメリカ(A)、イギリス(B=Britain)、中国(C=China)、オランダ(D=Duch)が、共同して行った対日経済封鎖のことである。これによって日本は、大東亜戦争を戦うことを余儀なくされた。

昭和十二年の支那事変の勃発によって中国に進出した日本を快く思わないアメリカは、日本に対して露骨な経済制裁を行なってきた。まず、航空機と航空機部品の禁輸(昭和十四年)を行ない、翌年、日米通商条約を一方的に破棄した。同時に日本軍と交戦中の蒋介石の国民党軍に対して武器等の援助を行い、さらに、義勇軍と偽り正規空軍部隊を支那に派遣し日本軍と戦わせた。また当時、イギリス、フランス、ソ連も中国に対して巨額の軍事援助を行い、日中の戦争を泥沼化させていった。

米英の援蒋(蒋介石を援助する)物資は主にビルマとフランス領インドシナから重慶に運ばれていたので、日本はこれを遮断する為にフランス(ナチス・ドイツ支配下のビシー政権)と協定を結び北部フランス領インドシナに日本軍を派遣した。これに対してアメリカは、対日禁輸措置をとった。

日本は、アメリカに代わる石油供給先としてオランダ(オランダ領インドシナ政府)と交渉を進めたが、米英の圧力を受け秘密裏に米英と共同防衛を約していたオランダとの交渉は決裂してしまった。(当時オランダ領インドシナの全産油の七四%を英国系資本、二六%を米国系資本が抑えていた)

このようなABCD包囲網によって自然と自活の道を歩まねばならなくなった日本は、戦略物資の宝庫とされた南部フランス領インドシナが米英に占領される前にフランスと交渉し南部フランス領インドシナへの進駐に踏み切ったのである。

これに対してアメリカは在米日本資産の凍結と石油の全面禁輸に踏み切った。この時点での日本の備蓄石油はたったの二年分である。軍艦を動かすには石油が必要不可欠であり、まさに石油の一滴は血の一滴と言われるほどに事態は切迫していたのである。もし、開戦の時期を逃してしまったら日本が世界に誇る連合艦隊を動かすことすら出来ず、戦わずして負けてしまったであろう。


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