一出版社からアマゾンに関する問題提起
現在、書籍の販売店としてアマゾンの存在は、ますます大きなものとなっています。そのアマゾンに関して、一出版社としての立場から問題提起致します。
アマゾンレビューの問題点
アマゾンでは、書籍の販売ページに読者のレビューを掲載しています。このレビューは、時にいわれのない誹謗中傷の場となり、出版社にとって非常な不利益をもたらす場合が少なくありません。
弊社書籍についても、幾度か事実に反する、根拠のない誹謗中傷のレビューが書き込まれました。誹謗中傷のレビューを書きこむことは、明らかに出版社と著者に対する名誉棄損であり、営業妨害でもあります。悪質なら刑法が適用されるべき部類のものです。
しかしアマゾンでは、積極的にレビューの削除は行いません。レビューについて、定められた手順で削除要請を行なうと、アマゾンが自社のガイドラインにてらして確認し、問題ありと判断した場合のみ削除が行われます。
出版社が無責任なレビューによって風評被害を受けるケースは少なくありません。書籍の販売窓口であるアマゾンのサイトを使って、匿名で簡単に営業妨害と名誉棄損が行えるアマゾンレビューの仕組みは、改善されるべきだと弊社は問題提起致します。
特に悪質だったケースの一例
弊社のケースでは、根拠のない誹謗中傷を書きこんだ挙句に、他の高評価レビューがついているのはやらせだと書いたレビューがありました。これについては、アマゾンの指定する手順で削除依頼したところ、ガイドライン違反のレビューであると判断され、削除されました。ところが数日後、同じレビュア―が言葉を変え、再び誹謗中傷のレビューを投稿するという結果になりました。
同レビューは表面上の表現がガイドラインに抵触していないとしても、レビューの内容は事実にもとづかない極めて不当なものであり、本質的にはガイドラインで禁止されている「悪口や攻撃」に相当するものと弊社は判断しました。また、直前に削除されたレビューの悪質さを考えれば、再度の誹謗中傷を放置するわけにはいきませんでした。
弊社は所定の手順で削除依頼を行ないましたが、アマゾンは、これに応じませんでした。
しかし放置すれば、今後の風評被害が懸念されます。社会規範という観点からしても、何もせずに放置するわけにはいきません。
相手は匿名のレビュア―でしたので、弊社は委任状を作成して弁護士に依頼しました。
2017年11月1日に、プロバイダ責任制限法に基づいて送信防止措置依頼を出しましたが、アマゾンからの回答はなかなか来ませんでした。問い合わせると「適切に処理します」のでお待ちくださいという旨の回答でした。
2017年11月28日、弁護士が書類を送って4週間近く後に、アマゾンから「委任状の原本を送って欲しい」という旨の連絡が弁護士にありました。これは事前の案内にはなかったことでしたので、弁護士がアマゾンになぜ原本が必要なのか理由を尋ねると、2017年12月6日、書類に不備はありませんでしたというお詫びと、削除について検討に入るとの連絡がありました。
2017年12月18日、弁護士にアマゾンからの回答が書面で届き、削除しないとの回答でした。
このように、レビューの削除には大きなハードルが存在します。無責任な匿名の誹謗中傷レビューに対応するために、出版社は大きな労力と出費を強いられるというのが現状です。
大量返本の問題
弊社代理人の弁護士が上記のレビュー削除を依頼している最中(2017年11月29日と12月1日)に、アマゾンからの大量返本がありました。段ボールにして25箱、総数1000冊近くです。その直後、返本されてきたのと同じ書籍に何百冊もの注文が入りました。
アマゾン側の説明としては、AIの需給予測の結果、という事なのですが、出版社の負担は正直大きいものでした。アマゾンとしても無駄な動きですから、このような発注のシステムの精度が改善されることを期待します。
アマゾンは、書籍だけでなく多くの商品の流通において重要な位置を占める企業となりました。巨大企業には社会に対して大きな責任が生じます。アマゾンが企業倫理に基づいて、責任ある対応と改善をしてくれることを切に願います。
桜の花出版株式会社